世界むかシバなし 柴雪姫

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昔あるところに、
それはそれは美しいお姫様がいました。

泥遊びをしていない日は
雪のように白く美しいことから
「柴雪姫」と呼ばれていました。
でも、姫の美しさを妬んだ意地悪な王女に
国を追われて森の奥に逃げ込み、
ひっそりと暮らしていたのです。



執念深い王女は白雪姫の居場所を突き止め、
かわいい柴犬に変装して訪ねていきました。
「美しいお姫様に、おいしいりんご
 差し上げにまいりました。
 どうぞお召し上がりください」

でも、柴雪姫は賢い女性です。
「童話の白雪姫じゃあるまいし、
 私はだまされませんよ。
 毒入りりんごなんて、食べません!」
スンッと王女を撃退しました。



ところが、王女はさらに賢い女性。
「それなら、コレはどうですか?」と
さつまいもを差し出したのです。

「あっ、おいも♥」
ちょっぴり食いしん坊な柴雪姫は、
思わずパクッといってしまいました。

もちろん、さつまいもは毒入りです。
飲み込んだ瞬間、柴雪姫は
その場にバッタリ倒れ、
深い眠りについてしまいました。


そのときちょうど都合よく
馬にまたがった隣の国の王子が通りがかり、
倒れている柴雪姫を助けようと駆け寄りました。

でも、姫を抱き起す前に
姫が食べこぼしたさつまいものかけらを見つけて
パクッといってしまったのです。

もちろん、王子も
その場にバッタリ倒れてスヤスヤ。

たぶん、今でもふたり並んで
眠っているはず。
誰か助けにいってあげてください。

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